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第30問 日本語表現に関する問題

次の文で訂正すべき箇所を、下の選択肢の中からひとつ選んでください。

先日のバザーは、多くの皆様が、ご家庭に眠っていた未使用の品々を持ち寄っていただき、大変な盛況となりました。

a. 「多くの皆様」を「たくさんの皆様」にする。
b. 「ご家庭に眠っていた」を「ご家庭に眠っていらっしゃった」にする。
c. 「持ち寄っていただき」を「持ち寄ってくださり」にする。
d. 「大変な盛況となりました」を「大変な盛況になりました」にする。


解答・解説

正解は c. の「『持ち寄っていただき』を『持ち寄ってくださり』にする」です。

a. は「多くの」でも「たくさんの」でもどちらでもかまいません。 また、b. は「未使用品が眠っていらっしゃった」はおかしいため、d. は「盛況となりました」でも「盛況になりました」でもどちらでもよいため、正解ではありません。

問題の「持ち寄っていただき」は、最近テレビでインタビューを受けた人の受け答えなどでよく耳にする誤用です。「多くの皆様が」(バザー開催者のために)「持ち寄ってくださる」のです。「持ち寄っていただく」を使うのであれば、「(バザー開催者の私共が)多くの皆様に〜を持ち寄っていただき」といった流れとなるはずでしょう。主部と述部のつながり方がおかしいのです。

しかし、最近テレビなどでこの使い方に出くわす頻度はどんどん高まっています。以前の問題で「注目が集まる」という重複表現が頻用されていることに苦言を呈しましたが、この「いただく」の使い方ともども、テレビで日常的に多用されているうちに正統な日本語表現になっていくのではないかという感じがしています。そうなると、これを「誤用」とする見方は古いものになってくるでしょう。すでに今、誤用と見る方が「年寄りくさい」のかもしれません。筆者の息子に尋ねてみれば、「別に何も問題ないんじゃない?」という答えが返ってくるのが関の山でしょう。

日常語というものは、こういう風により多くの人々が使い出すことによって、さらに多くの人に受け入れられて広がり、変化を続けていきます。そういうものなのです。言葉はそうやって太古の時代からさまざまな変化を遂げてきました。

ただ、翻訳という視点から見た場合には、やはり保守的な姿勢を保った方が無難です。大多数の読者に違和感を与えない日本語表現、読者が余計な疑問を抱かずに論旨を追える文章、訳者の存在を意識させない原文を尊重した訳文、を目指す必要があるのです。そのため、語や表現の新しい使われ方に関しては、翻訳者は特に敏感でありたいものです。

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