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第55問 日本語の表現の問題

次の文を日本語に訳した場合、日本語としてもっとも自然な表現は下の4つのうちどれでしょう。ひとつ選んでください。

When you think you're having a bad day, think of Jill Weiss. She not only gardens from a wheelchair, she donates her vegetables to people with AIDS...
(引用元ページへ, Sat, 25 Mar 2006)

a. あなたは今日はついていない、とあなたが思ったら、ジル・ワイスのことを考えてみてください。彼女は車椅子でガーデニングをしているだけでなく、彼女の野菜をエイズ患者に寄付しているのですから...
b. 今日はついてないなと思ったら、ジル・ワイスのことを考えてみてください。 車椅子でガーデニングをしているだけでなく、庭でできた野菜をエイズ患者に寄付 しているのですから...
c. 今日はついてないなと思ったら、ジル・ワイスのことを考えてみてください。 彼女は車椅子でガーデニングをするだけでなく、自分の野菜をエイズ患者に寄付し ているのですから...
d. 今日はついていないと思ったら、ジル・ワイスのことを考えてみてください。 車椅子でガーデニングをするだけでなく、彼女の野菜をエイズ患者に寄付している のですから...


解答・解説

正解は b. です。

第32問で出てきたsomeと同様に、そのまま訳すと「翻訳臭」がきつくなりかねないのが代名詞。そもそも日本語では「彼」だの「彼ら」だの「それら」だのといった代名詞は使わないのがふつうです。学校の英語教育や翻訳の影響で、年々使われることが多くなってはきましたが、こういう代名詞が使われると、途端に翻訳臭さが鼻につくようになります。

「私は気にならない」という人もいるかもしれませんが、自分が気にならなくても、読者の中に気になる人がいそうな表現は使わない方がよいのです。翻訳の時は安全策を取っておくのにこしたことはありません(この意味で、翻訳は保守的な作業だと言えるでしょう)。

日本語でどうしているかを振り返ってみると、自明の場合は英語ほど主語や所有格を明示する必要がないという理由で、使っていないケースが多いようです。たとえば「きのう(私たちの)子供の担任の先生が(私たちの)うちに見えました。」「(彼は)10分ほど話してお帰りになりました」などといった場合、括弧で囲まれている部分は省略したほうが自然でしょう。

前後関係から、むしろ訳したほうがわかりやすい文になると感じるときには、固有名詞を繰り返したり、家族内での役割(お父さん、父、父親など)や組織内での役職名(社長、先生、店員など)で言い替えたり、「自分の」「自社の」「自前の」「自家製の」など他の不自然でない表現を使ったりしています。たとえば「きのう祖父のかかりつけのお医者さまが電話をくださり、祖父の具合はどうかと訊いてくださいました」といった具合です。

さて、課題文の答えの選択肢のうち d. についてですが、前半はいい線行っているのですが、後半で突然「彼女の」をつけたため、「ジル・ワイスが自分の庭で作った野菜」というよりも、だれかまた別の女性が作った野菜を寄付してでもいるかのような誤解を招きそうな文になっています。

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