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第107回 訳語の選択の問題

次の文を読んで、procrastinatorの訳語として適当だと思われるものをひとつ選んでください。

I'm so lazy and always wait till the last minute; I am such a horrible procrastinator!

a. 延引者
b. すぐにやらない人
c. ぐずぐずと先延ばしにする人
d. ぐず


解答・解説

第107回 解答・解説     

正解は d. です。

全体を訳してみると「私、ほんとに無精でさ、何でも土壇場までやらないんだ。ひどいぐずでね」となります。「ぐず」はご存知のとおり「動作や決断が鈍いことや、そのような人やさま」という意味を持ち、 procrastinate(やらなければならないことをぐずぐずと先延ばしにする、〜をぐずぐず引き延ばす)という自動詞と他動詞の語尾のeをorに換えたprocrastinator(決断が鈍い人)の訳として的確な表現です。

procrastinatorは英語では日常レベルでよく使われる単語なのですが、たいていの辞書には「やらなければならないことをぐずぐず先延ばしにする人」といった訳語しかなく、こんなタイプの人は日本でもよく見かけるにもかかわらず、ぴったりくる訳語がありませんでしたが、『英辞郎』に「ぐず」という訳語が載り、これはすばらしいと思ったものです。

こうした、いわゆる「こなれた表現」が満載のオンライン辞書が山岡洋一氏の『翻訳訳語辞典』(引用元ページへ)です。ちなみにprocrastinatorを引くと「逃げ口上」という訳語が載っています。これは人の性格や行動を言い表すものではなく、「責任逃れのための言葉」という意味で使われる場合の訳語ですが、これもなかなかよい訳ですね。

何年か前に、市民の要求をなかなか実現してくれない「お役所仕事」への不満を自ら解消しようと立ち上がったどこかの市役所が「すぐやる課」というのを作ったのを、皆さん覚えていらっしゃいますか? インターネットで「すぐやる課」と入力して検索してみたところ、初の「すぐやる課」を作ったのは千葉県松戸市、と書いてあるサイトがありました。それによると、あの薬局チェーン「マツモトキヨシ」の現在の社長のお父さんが、松戸市長だった1969年に作った課だとか。また、筆者の学生時代の友人の中に、まさしくprocrastinatorを自認する人がおり、自分は「恐怖の間際人間」だと言っていたものです。いずれも言い得て妙、という訳でしょう。

冗談めかした表現が許される場面であれば、こうした滑稽な言い回しを利用する手もあります。「すぐやる課」も「恐怖の間際人間」も、「なすべきことをぐずぐずと先延ばしにする」というprocrastinateを字義通り訳さず(原文に引きずられず)、「すぐやる」と「間際」といった具合に、同じ現象を別の角度からとらえています。常日頃、「こういうタイプの人を日本語で表現するとしたらどんな言い方をするだろうか?」と、楽しみながら考えるのも発想法の転換という観点から見て絶好の頭の体操になるでしょう。

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