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第128問 定型的な表現の訳の問題

ゲームプログラマー向けに書かれた、次の例文とその訳例を見てください。

You are writing a spaceship shoot-'em-up game, which needs a set of preferences to control everything from sound volume to number of players to play.

宇宙船のシューティングゲームを書いているとしましょう。音量からプレーする人数まで、すべてをコントロールする環境設定が必要です。

この訳例の中で、日本語の表現としてもっとも不自然だと思われる部分はどこでしょうか。以下の選択肢から選んでください。

a. 「シューティングゲーム」という表現は普通使わない
b. 「ゲームを書く」とは言わない
c. 「音量からプレーする人数まで」が変だ
d. 「すべてをコントロールする」とは言わない


解答・解説

 

正解は c. です。「音量からプレーする人数まで」は日本語としては非常に不自然です。

もう一度原文と訳文を見てみましょう。

You are writing a spaceship shoot-'em-up game, which needs a set of preferences to control everything from sound volume to number of players to play.

宇宙船のシューティングゲームを書いているとしましょう。音量からプレーする人数まで、すべてをコントロールする環境設定が必要です。

この訳文では"from sound volume to number of players"の部分を「音量からプレーする人数まで」とある意味素直に訳しています。

しかし、日本語で「AからBまで」とするならAとBが正反対、あるいはそれに近いもので、何らかの範囲を表しているはずです。たとえば、「赤ちゃんから爺ちゃん婆ちゃんまで」とか「アリンコからゾウさんまで」とか。ところが「音量からプレーする人数まで」では、なんの範囲も表現していません。設定する項目を例示しているにすぎません。

英語でfrom A to Bの構文だからといって、日本語でも「AからBまで」となるとは限らないのです。この例では、「音量からプレーする人数まで」は不自然で、たとえば「音量、プレーする人数など」といったように訳さないと、人によっては違和感をもたれてしまうことになります。そもそも原文が英語としては変だという可能性もありますが、筆者は似たような表現を、複数の書籍で見たことがありますので、稀な例ではないようです。

同じことが、"if you ..."という構文にも当てはまります。添削課題の解答などを拝見すると、"If you ..." で始まる文を、判で押したように「もしあなたが...」と訳していらっしゃる方が、かなり多いのですが、「もしあなたが...」という言葉を発することがあるか、ご自分の日常を振り返ってみてください。この表現は、英文和訳の宿題か、日本語を習いたての外国人の日本語か、あるいは駆け出しの翻訳者の訳文ぐらいでしか登場しないのです。

頭にこびりついているこのような「英文和訳の公式」は、訳文をひねり出す段階になったらさっぱりと忘れましょう。訳文を作る際には、「その場面に自分がいたら何と言うか」「自分が書き手あるいは登場人物だとしたら日本語でどう言うか」を考えてください。

なお、「ゲームを書く」「シューティングゲーム」といった表現は、検索をしてみればわかるように、一般的に使われている表現です。「すべてをコントロールする」もプログラマー向けとしては、とくに問題になる表現ではないでしょう。

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